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いなかの猫の天邪鬼部屋

第23話

OnAir~シーズン3・第23話~


#セアのアパート、寝室

(サンウ、セアを抱いてベッドに倒れる...)

サンウ : (セアの顔を見下ろす) ......今からでも遅くない。怖かったら言って...

セア : (上気したまま見る) .... 怖いわ...でも止めたくないの....

サンウ : (震える目で見る) あなたは本当に...

(セア、息を吐き出し目を閉じる。サンウの背中を抱いて引く。サンウ、'愛している'と心の中で何度も繰り返し、目を閉じる。セアにキスをする.....)


#朝、ベッドの上

(サンウ、目覚める。眠ったセアを眺める。微かに微笑む。頭を撫でて額に口付ける。胸が裂けるような幸福感に息を吐き出す。引き寄せて抱き、目を閉じる...。低い声で'愛してる...'。セアの眉毛が震える...)


#キッチン

(セア。サンウのシャツだけ着ている。にっこりと笑って振り返る。食卓に座ったサンウ、手に顎を乗せてセアを見る。)

サンウ : ところで俺は何を着ていろと?早く脱げ。

セア : この暑いのに、着なくたっていいでしょう?それとも私のを貸す?

サンウ : (顔をしかめる) 俺に女性の服を着ろと?話にもならない事を...

セア : (考えて笑う) ...笑える。

(セア、食卓に皿、コーヒーカップを下ろして座る。サンウ、セアの動きに従って視線を動かす。)

セア : (サンウを眺めて) 今日一日休めない?

サンウ : 仕事もしないで食べて遊べと?ごろつきになれとでも言うのか?(コーヒーカップを持つ)

セア : (目に笑を浮かべる) 今日だけ無駄飯を食えば...?

サンウ : (笑う) それで女は妖物だと言うんだな。おい、悪魔のしっぽを出せ。

セア : (笑って舌打ち)....

(サンウ、セアを見て笑う...)


#居間

(サンウ、ソファ-に座って電話する。セア、サンウの横に座って見る。)

サンウ : (電話中) ああ、俺だけど。今日はちょっと休もうと思って...。あまり重要な事はないから。キム室長が分かってるさ。何かあったら連絡してくれ。.......それじゃ。(電話を切ってセアを見る) これでいいか?男をごろつきにしていいのか?

セア : (いたずらっぽく笑う) うん...いいの...

サンウ : (セアを見て触れながら睨む) この....

セア : (目で笑って)何?

サンウ : ....(見てセアを抱いて倒れる) 狐め....

(二人の笑い声が部屋いっぱい広がる....)


#スーパーマーケット

(サンウとセア、売場の間を歩き回る。サンウ、カートを引きながらセアを眺める。セア、あれこれ選び、サンウの方を振り向いて微笑む。サンウ、嬉しい目で見る。)


#夕方、セアのアパート

(対座して食事中の二人。)

セア : (サンウを見る) .....どう?

サンウ : ...食べられる。

セア : (顔をしかめる) その程度でしかないの?

サンウ : 専門食堂を構えるにはちょっと危ないな。もうちょっと研究しないと。

セア : (睨む) よく頑張ったとも言ってくれないで.... (ため息) どうしよう...でも愛する人だから堪えなくてはならない...

サンウ : (笑う) 美味しいよ。食べてみたら美味しかったよ。


#寝室、ベッドの上

(サンウ、セアを抱いて横になっている。)

サンウ、 : (セアの頭に口付ける)...こんなふうにしていたら、本当のごろつきになるな。明日の朝は早く起きるよ。部屋に寄って服も着替えないとならないし。

セア : ...私

サンウ : .....(見る)何だ?

セア : あなたと一緒に住んだらダメ?

サンウ : (考える目).....やめろ。君にも俺にも、いい事じゃない。

セア : (寂しい) ....いい事じゃないって何...?

サンウ : 一緒に住んだらがっかりするだろうから。すぐ飽きるよ。俺はまだそうなりたくない。

セア : 結婚して暮す人もいるのに...

サンウ : 結婚とは違う。結婚は完全に諦める事を意味する事だから...。辛くても耐えないとならないじゃないか。

セア : それじゃ結婚した事にすればいいでしょう?

サンウ : そんな話がどこにあるんだ?した事にするというのは、嘘だという事だろう?

セア : それでは....('結婚すればいいじゃないの...')

サンウ : (セアを見る,じいんと熱くなる) .....ユン・セア。

セア : (見る) ?

サンウ : ....がっかりせずに聞いてくれ。

セア : .....?

サンウ : 俺は.... 結婚出来ない。いくら君を愛して......愛していても、結婚は別だ....

セア : (愛?...残念さと解せなさが入り交って) ....それでは...私を愛している事は認める?

サンウ : (ドキッ!) .......

セア : (弱々しい目で見る)....

サンウ : (視線を避ける) ......

セア : (首を回してサンウの目を見る) 避けずに言って..

サンウ : .....(視線を避けた後、見る。ぎこちない視線) .....ああ。そうだと思う....

セア : .....そうだと....思う?

サンウ : ...(見る) ...そう.... (震える目で見る。かろうじて口を開く).... 君を ...愛してる.....

セア : (涙を溜める) .....本当に?

サンウ : (じいんと熱くなる。セアの頬を撫でる) ああ。君を愛してる。

セア : (微笑滲む) .... いいわ、それなら。結婚出来なくてもいい。週末夫婦という事にしましょう。

サンウ : (苦笑) ...君はまったく...

セア : どうするの?それじゃ。そうとでも考えなかったら悲しくて生きていられないと思うわ...

サンウ : それ見ろ。辛くなると言ったじゃないか。

セア : でも大丈夫。あなたを失うよりはずっとましだから。

サンウ : (穏かな目でセアを見て引き寄せて抱く) ...一体どうして俺が好きなんだ?辛い思いをさせるだけの俺を....

セア : 愛のせいで辛いのは...それも私が生きている証拠だから。...あなたは私を生かしているのよ....

サンウ : ('そうだ。君も俺を生かしている').....(見る)愛してる...(口付ける)


#8月初、放送局構内食堂

(ギョンミンとサンウ、一緒にいる。)

ギョンミン : もうすぐ新しい作品に入って行くんです。今度のも短編だけど、ちょっと特別なものになるんですよ。

サンウ : どんなふうに特別なんですか?

ギョンミン : 150分物です。TV用映画として作るつもりです。画質や完成図面でスクリーン用にも劣らない..

サンウ : (見る) うちの子たちを使ってくれますか?

ギョンミン : オーディションはするつもりですが。まずシノプシスを差し上げます。シノプシスを差し上げるから、一度見て下さい。(ファイルを渡す)

サンウ : 誰が書いたんですか?(見る) ソ作家?....じゃないですね.. 脚色ですか..。どうして作家の名前がないんですか?

ギョンミン : 誰が書いたのかが重要ですか?そんな事を計算する人でしたっけ?

サンウ : なぜですか?俺は計算します。視聴率が違うじゃないですか。

ギョンミン : (苦笑) 視聴率は保障出来ません。主題が重くて。それに短編だからどれくらい注目を集められるかも分からないし。

サンウ : しかし短編にして力を入れているのを見ると、そうするに値する理由があるんじゃないですか?既存の作品を脚色したんですか?

ギョンミン : いいえ。

サンウ : .... 何ですか?ミステリーマーケティング?

ギョンミン : (笑う) そういう事ではありません。とにかく見て適当な配役に支援させて下さい。あ、そうだ...女優より男優の比重が高いです。ラブストーリーではないですから。

サンウ : はい。

ギョンミン : それから....

サンウ : ....え?何ですか?

ギョンミン : 忙しくて時間はないですが、そのうち一度一緒に会いしょう。どうしているのか気になるので。

サンウ : (目を細めて) .....何がですか?誰と一緒に会うと?

ギョンミン : 私にまで隠すつもりですか?あまりそういうふうにすると女性は辛いんです。秘密恋愛でもあるまいし...

サンウ : ...(見て苦笑) でもこの世界ではとても公開する事は出来ないでしょう?どうなるかも分からないのに...

ギョンミン : ....どうしてですか?結婚しないつもりですか?

サンウ : (苦々しげに笑う) まったくもう....年のせいなのか?どうしてこう結婚圧迫が酷いのか....

ギョンミン : 子供じゃないですから...何も考えないわけにはいかないでしょう?もっとも俺はどうこう言える立場じゃないけれど。

サンウ : (瞬きしてギョンミンを見る) イ監督は本当に .... 男にしては纎細な面が多いですね。親しい友達の間でも、男同士でこんな話はあまりしないのに。

ギョンミン : 俺も他の人にはそうじゃないです。だけどチン代表の事はいつまでも安心出来なくて....(笑う)

サンウ : は...まったく。俺たちはそろそろある程度の距離を維持しないとならないと思いますね。関心が深くなれば干渉になるでしょう?

ギョンミン : 干渉のない関心は無責任でしょう?

サンウ : 全ての人に全て責任を負う事は出来ないんでしょう?

ギョンミン : 誰が全てに責任を負うんですか。俺は愛する人だけに責任を負うんです。愛を守るために責任は必須です。

サンウ : (ため息) 俺が言葉でイ・ギョンミンにどうやって勝つんだ?(親指を立てて) You win!

(ギョンミン、笑う。)


#PD室

(ギョンミン、机に座ってコンパスを見てふと思い出す。チュニのホームページを捜してみる。)

(チュニのホームページの中の写真を見る。ヨンウンの姿、ウンミンの姿、ヒャンジャとオキシムの姿、ミンジの姿。それらが盛られたフォルダを見て満足そう。見ながら考える。)...


#(インターカット) ギョンミンとヨンウンの部屋

ヨンウン : 毎年休みになるとロンドンへ行ってたんだけど、今回は難しいと思うわ。パパが忙しいから。行っても一緒にいられなかったら.... がっかりすると思うもの...


#再びPD室

(ギョンミン、ヨンウンの言葉を思い浮かべる。写真を見ながら考える....)


#ギョンミンとヨンウンのアパート

(食卓に座っているオキシムとチュニ)

オキシム : どうしてこっちに来ないのか...(立ち上がって部屋に行く。ドアの外に立って) 食事しに来ないの?待ってるんだけど。

ギョンミン : (出る) はい、行きます。彼女は寝ているから、もうちょっとしてから食べさせて。

オキシム : そう。

(食卓に座って食事中)

ギョンミン : (チュニを見て) チュニの休みはいつまでだ?

チュニ : 9月1日が始業だよ。

ギョンミン : そうか。休みなのにどこにも行けなくて...ウンミンがまだ小さいから....

チュニ : いいよ。

ギョンミン : (見る).....もし...

チュニ : (見る).....

ギョンミン : 撮影場に一度行ってみるか?地方で2~3日撮影するから...

チュニ : 撮影場?

ギョンミン : ああ。ママのドラマがどうやって作られるのか見たくないか?

チュニ : ママの?

ギョンミン : ああ..見られるよ。

チュニ : 少し考えさせて。

ギョンミン : ああ。


#夜、ギョンミンとヨンウンの寝室

(ギョンミン、ベッドに座って本を見る。ヨンウン、ベビーベッドにウンミンを寝かす。)

ギョンミン : この夏はチュニを連れて撮影場に行くかもしれない。

ヨンウン : ん?チュニを?

ギョンミン : うん。休みなのに忙しくて時間も割けないから...。ちょうど地方撮影が入ってるから、連れて行こうかと思うんだけど...

ヨンウン : (見る).... 邪魔にならない?迷惑をかけるのはイヤだわ。

ギョンミン : (見る) ....迷惑?

ヨンウン : (瞬き) あなたにと言うより...子供だから仕事の邪魔になったら...

ギョンミン : ...チュニは誰かに迷惑を掛ける子か?

ヨンウン : そんな子じゃないけど...

ギョンミン : (隣の席を叩いて) ここに座って。

ヨンウン : (座る).....

ギョンミン : (真剣にヨンウンを見る) チュニに常にすまない気持ちがあるのは分かっている。一気に大きくなって狼狽するのも分かるし...。何を心配しているか分からないけど、心配して気を付ける事だけで解決する問題じゃないんだ。

ヨンウン : (憂鬱な目で見る) ....

ギョンミン : だけど一応パパなんだから、何か思い出を作ってやりたい。幸いチュニは写真に興味があるみたいだから、悪くはないと思う。心配するな。ちゃんとやるよ。

ヨンウン : ごめんなさい...あなたに不必要な荷物を背負わせるみたいで...

ギョンミン : その言葉は ...寂しいと分かるか?君と関係ある事は俺には荷ではないんだ...。だから不必要だなんて事を言ったらダメだ。

ヨンウン : (すまない。ありがたい) ........ 何と言えばいいのかしら?ありがという言葉も寂しいって言う?

ギョンミン : (暖かい目) ああ。....何も言わなくていい。言うな。俺の息子だから。

ヨンウン : (ジーンとする。涙を溜める)...一度だけ言ったらもう言わないわ。ありがとう。

(ギョンミン、穏かな目で見て微笑む....)






(原作出処:sonkhj1116さんのブログ


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